学校法人会計基準
(昭和四十六年四月一日文部省令第十八号)
最終改正:平成一七年三月三一日文部科学省令第一七号
私立学校法 (昭和二十四年法律第二百七十号)第五十九条第八項 の規定に基づき、学校法人会計基準を次のように定める。
第一章 総則
(学校法人会計の基準)
第一条 私立学校振興助成法 (昭和五十年法律第六十一号。以下「法」という。)第十四条第一項 に規定する学校法人(法附則第二条第一項に規定する学校法人以外の私立の学校の設置者にあつては、同条第三項の規定による特別の会計の経理をするものに限るものとし、以下「学校法人」という。)は、この省令で定めるところに従い、会計処理を行い、財務計算に関する書類(以下「計算書類」という。)を作成しなければならない。
2 学校法人は、この省令に定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる学校法人会計の原則に従い、会計処理を行ない、計算書類を作成しなければならない。
(会計の原則)
第二条 学校法人は、次に掲げる原則によつて、会計処理を行ない、計算書類を作成しなければならない。
一 財政及び経営の状況について真実な内容を表示すること。
二 すべての取引について、複式簿記の原則によつて、正確な会計帳簿を作成すること。
三 財政及び経営の状況を正確に判断することができるように必要な会計事実を明りように表示すること。
四 採用する会計処理の原則及び手続並びに計算書類の表示方法については、毎会計年度継続して適用し、みだりにこれを変更しないこと。
(収益事業会計)
第三条 私立学校法 (昭和二十四年法律第二百七十号)第二十六条第一項 に規定する事業に関する会計(次項において「収益事業会計」という。)に係る会計処理及び計算書類の作成は、一般に公正妥当と認められる企業会計の原則に従つて行わなければならない。
2 収益事業会計については、前二条及び前項の規定を除き、この省令の規定は、適用しない。
(計算書類)
第四条 学校法人が作成しなければならない計算書類は、次に掲げるものとする。
一 資金収支計算書及びこれに附属する次に掲げる内訳表
イ 資金収支内訳表
ロ 人件費支出内訳表
二 消費収支計算書及びこれに附属する消費収支内訳表
三 貸借対照表及びこれに附属する次に掲げる明細表
イ 固定資産明細表
ロ 借入金明細表
ハ 基本金明細表
(総額表示)
第五条 計算書類に記載する金額は、総額をもつて表示するものとする。ただし、預り金に係る収入と支出その他経過的な収入と支出及び食堂に係る収入と支出その他教育活動に付随する活動に係る収入と支出については、純額をもつて表示することができる。
第二章 資金収支計算及び資金収支計算書
(資金収支計算の目的)
第六条 学校法人は、毎会計年度、当該会計年度の諸活動に対応するすべての収入及び支出の内容並びに当該会計年度における支払資金(現金及びいつでも引き出すことができる預貯金をいう。以下同じ。)の収入及び支出のてん末を明らかにするため、資金収支計算を行なうものとする。
(資金収支計算の方法)
第七条 資金収入の計算は、当該会計年度における支払資金の収入並びに当該会計年度の諸活動に対応する収入で前会計年度以前の会計年度において支払資金の収入となつたもの(第十一条において「前期末前受金」という。)及び当該会計年度の諸活動に対応する収入で翌会計年度以後の会計年度において支払資金の収入となるべきもの(第十一条において「期末未収入金」という。)について行なうものとする。
2 資金支出の計算は、当該会計年度における支払資金の支出並びに当該会計年度の諸活動に対応する支出で前会計年度以前の会計年度において支払資金の支出となつたもの(第十一条において「前期末前払金」という。)及び当該会計年度の諸活動に対応する支出で翌会計年度以後の会計年度において支払資金の支出となるべきもの(第十一条において「期末未払金」という。)について行なうものとする。
(勘定科目)
第八条 学校法人は、この章の規定の趣旨に沿つて資金収支計算を行なうため必要な勘定科目を設定するものとする。
(資金収支計算書の記載方法)
第九条 資金収支計算書には、収入の部及び支出の部を設け、収入又は支出の科目ごとに当該会計年度の決算の額を予算の額と対比して記載するものとする。
(資金収支計算書の記載科目)
第十条 資金収支計算書に記載する科目は、別表第一のとおりとする。
(前期末前受金等)
第十一条 当該会計年度の資金収入のうち前期末前受金及び期末未収入金は、収入の部の控除科目として、資金収支計算書の収入の部に記載するものとする。
2 当該会計年度の資金支出のうち前期末前払金及び期末未払金は、支出の部の控除科目として、資金収支計算書の支出の部に記載するものとする。
(資金収支計算書の様式)
第十二条 資金収支計算書の様式は、第一号様式のとおりとする。
(資金収支内訳表の記載方法等)
第十三条 資金収支内訳表には、資金収支計算書に記載される収入及び支出で当該会計年度の諸活動に対応するものの決算の額を次に掲げる部門ごとに区分して記載するものとする。
一 学校法人(次号から第五号までに掲げるものを除く。)
二 各学校(専修学校及び各種学校を含み、次号から第五号までに掲げるものを除く。)
三 研究所
四 各病院
五 農場、演習林その他前二号に掲げる施設の規模に相当する規模を有する各施設
2 前項第二号に掲げる部門の記載にあたつては、二以上の学部を置く大学にあつては学部(当該学部の専攻に対応する大学院の研究科、専攻科及び別科を含む。)に、二以上の学科を置く短期大学にあつては学科(当該学科の専攻に対応する専攻科及び別科を含む。)に、二以上の課程を置く高等学校にあつては課程(当該課程に対応する専攻科及び別科を含む。)にそれぞれ細分して記載するものとする。この場合において、学部の専攻に対応しない大学院の研究科は大学の学部とみなす。
3 学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第六十八条 に規定する大学に係る前項の規定の適用については、当該大学に置く大学院の研究科は大学の学部とみなす。
4 通信による教育を行なう大学に係る第二項の規定の適用については、当該教育を担当する機関は大学の学部又は短期大学の学科とみなす。
5 資金収支内訳表の様式は、第二号様式のとおりとする。
(人件費支出内訳表の記載方法等)
第十四条 人件費支出内訳表には、資金収支計算書に記載される人件費支出の決算の額の内訳を前条第一項各号に掲げる部門ごとに区分して記載するものとする。
2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による記載について準用する。
3 人件費支出内訳表の様式は、第三号様式のとおりとする。
第三章 消費収支計算及び消費収支計算書
(消費収支計算の目的)
第十五条 学校法人は、毎会計年度、当該会計年度の消費収入及び消費支出の内容及び均衡の状態を明らかにするため、消費収支計算を行なうものとする。
(消費収支計算の方法)
第十六条 消費収入は、当該会計年度の帰属収入(学校法人の負債とならない収入をいう。以下同じ。)を計算し、当該帰属収入の額から当該会計年度において第二十九条及び第三十条の規定により基本金に組み入れる額を控除して計算するものとする。
2 消費支出は、当該会計年度において消費する資産の取得価額及び当該会計年度における用役の対価に基づいて計算するものとする。
3 消費収支計算は、前二項の規定により計算した消費収入と消費支出を対照して行なうものとする。
(勘定科目)
第十七条 学校法人は、この章の規定の趣旨に沿つて消費収支計算を行なうため必要な勘定科目を設定するものとする。
(消費収支計算書の記載方法)
第十八条 消費収支計算書には、消費収入の部及び消費支出の部を設け、消費収入又は消費支出の科目ごとに、当該会計年度の決算の額を予算の額と対比して記載するものとする。
2 消費収入の部に記載する消費収入は、当該会計年度の帰属収入の金額から第二十九条及び第三十条の規定により当該会計年度において基本金に組み入れる額を控除する形式で表示するものとする。
(消費収支計算書の記載科目)
第十九条 消費収支計算書に記載する科目は、別表第二のとおりとする。
(当年度消費収入超過額等の記載)
第二十条 当該会計年度の消費収入超過額(消費収入が消費支出をこえる額をいう。)又は消費支出超過額(消費支出が消費収入をこえる額をいう。)は、当年度消費収入超過額又は当年度消費支出超過額として、消費支出の部の次に当該金額を予算の額と対比して記載するものとする。
(翌年度繰越消費収入超過額等)
第二十一条 当該会計年度において次に掲げる額がある場合には、当該額を相互に加減した額を、翌年度繰越消費収入超過額又は翌年度繰越消費支出超過額として、翌会計年度に繰り越すものとする。
一 当年度消費収入超過額又は当年度消費支出超過額
二 前年度繰越消費収入超過額又は前年度繰越消費支出超過額
三 消費支出準備金(特定の会計年度の消費支出に充当するために留保する準備金をいう。以下同じ。)として当該会計年度において留保した額
四 消費支出準備金の当該会計年度における取崩額
五 第三十一条の規定により当該会計年度において取り崩した基本金の額
2 前項第三号の消費支出準備金の留保は、翌年度繰越消費支出超過額を繰り越すこととなる場合には、行なうことができないものとする。
(翌年度繰越消費収入超過額等の記載)
第二十二条 翌年度繰越消費収入超過額又は翌年度繰越消費支出超過額は、当年度消費収入超過額又は当年度消費支出超過額の次に、前条第一項の規定による加減の計算とともに、当該金額を予算の額と対比して記載するものとする。
(消費収支計算書の様式)
第二十三条 消費収支計算書の様式は、第四号様式のとおりとする。
(消費収支内訳表の記載方法等)
第二十四条 消費収支内訳表には、消費収支計算書に記載される消費収入及び消費支出の決算の額を第十三条第一項各号に掲げる部門ごとに区分して記載するものとする。
2 消費収支内訳表の様式は、第五号様式のとおりとする。
第四章 貸借対照表
第一節 資産
(資産の評価)
第二十五条 資産の評価は、取得価額をもつてするものとする。ただし、当該資産の取得のために通常要する価額と比較して著しく低い価額で取得した資産又は贈与された資産の評価は、取得又は贈与の時における当該資産の取得のために通常要する価額をもつてするものとする。
(減価償却)
第二十六条 固定資産のうち時の経過によりその価値を減少するもの(以下「減価償却資産」という。)については、減価償却を行なうものとする。
2 減価償却資産の減価償却の方法は、定額法によるものとする。
(有価証券の評価換え)
第二十七条 有価証券については、第二十五条の規定により評価した価額と比較してその時価が著しく低くなつた場合には、その回復が可能と認められるときを除き、時価によつて評価するものとする。
(徴収不能額の引当て)
第二十八条 金銭債権については、徴収不能のおそれがある場合には、当該徴収不能の見込額を徴収不能引当金に繰り入れるものとする。
第二節 基本金
(基本金)
第二十九条 学校法人が、その諸活動の計画に基づき必要な資産を継続的に保持するために維持すべきものとして、その帰属収入のうちから組み入れた金額を基本金とする。
(基本金への組入れ)
第三十条 学校法人は、次に掲げる金額に相当する金額を、基本金に組み入れるものとする。
一 学校法人が設立当初に取得した固定資産(法附則第二条第一項に規定する学校法人以外の私立の学校の設置者にあつては、同条第三項の規定による特別の会計を設けた際に有していた固定資産)で教育の用に供されるものの価額又は新たな学校(専修学校及び各種学校を含む。以下この号及び次号において同じ。)の設置若しくは既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために取得した固定資産の価額
二 学校法人が新たな学校の設置又は既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産の額
三 基金として継続的に保持し、かつ、運用する金銭その他の資産の額
四 恒常的に保持すべき資金として別に文部科学大臣の定める額
2 前項第二号又は第三号に規定する基本金への組入れは、固定資産の取得又は基金の設定に係る基本金組入計画に従い行うものとする。
3 学校法人が第一項第一号に規定する固定資産を借入金(学校債を含む。以下この項において同じ。)又は未払金(支払手形を含む。以下この項において同じ。)により取得した場合において、当該借入金又は未払金に相当する金額については、当該借入金又は未払金の返済又は支払(新たな借入金又は未払金によるものを除く。)を行つた会計年度において、返済又は支払を行つた金額に相当する金額を基本金へ組み入れるものとする。
(基本金の取崩し)
第三十一条 学校法人は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該各号に定める額の範囲内で基本金を取り崩すことができる。
一 その諸活動の一部又は全部を廃止した場合 その廃止した諸活動に係る基本金への組入額
二 その経営の合理化により前条第一項第一号に規定する固定資産を有する必要がなくなつた場合 その固定資産の価額
三 前条第一項第二号に規定する金銭その他の資産を将来取得する固定資産の取得に充てる必要がなくなつた場合 その金銭その他の資産の額
四 その他やむを得ない事由がある場合 その事由に係る基本金への組入額
第三節 貸借対照表の記載方法等
(貸借対照表の記載方法)
第三十二条 貸借対照表には、資産の部、負債の部、基本金の部及び消費収支差額の部を設け、資産、負債、基本金又は消費収支差額の科目ごとに、当該会計年度末の額を前会計年度末の額と対比して記載するものとする。
(貸借対照表の記載科目)
第三十三条 貸借対照表に記載する科目は、別表第三のとおりとする。
(重要な会計方針等の記載方法)
第三十四条 引当金の計上基準その他の計算書類の作成に関する重要な会計方針については、当該事項を脚注(注記事項を計算書類の末尾に記載することをいう。以下この条において同じ。)として記載するものとする。
2 重要な会計方針を変更したときは、その旨、その理由及びその変更による増減額を脚注として記載するものとする。
3 減価償却資産については、当該減価償却資産に係る減価償却額の累計額を控除した残額を記載し、減価償却額の累計額の合計額を脚注として記載するものとする。ただし、必要がある場合には、当該減価償却資産の属する科目ごとに、減価償却額の累計額を控除する形式で記載することができる。
4 金銭債権については、徴収不能引当金の額を控除した残額を記載し、徴収不能引当金の合計額を脚注として記載するものとする。ただし、必要がある場合には、当該金銭債権の属する科目ごとに、徴収不能引当金の額を控除する形式で記載することができる。
5 担保に供されている資産については、その種類及び額を脚注として記載するものとする。
6 翌会計年度以後の会計年度において基本金への組入れを行うこととなる金額については、当該金額を脚注として記載するものとする。
7 前各項に規定するもののほか、財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項については、当該事項を脚注として記載するものとする。
(貸借対照表の様式)
第三十五条 貸借対照表の様式は、第六号様式のとおりとする。
(附属明細表の記載方法等)
第三十六条 固定資産明細表、借入金明細表及び基本金明細表には、当該会計年度における固定資産、借入金及び基本金の増減の状況、事由等をそれぞれ第七号様式、第八号様式及び第九号様式に従つて記載するものとする。
第五章 知事所轄学校法人に関する特例
(徴収不能引当ての特例)
第三十七条 都道府県知事を所轄庁とする学校法人(高等学校を設置するものを除く。次条において「知事所轄学校法人」という。)は、第二十八条の規定にかかわらず、徴収不能の見込額を徴収不能引当金に繰り入れないことができる。
(基本金組入れに関する特例等)
第三十八条 知事所轄学校法人は、第三十条第一項の規定にかかわらず、同項第四号に掲げる金額に相当する金額の全部又は一部を基本金に組み入れないことができる。
2 知事所轄学校法人は、第四条の規定にかかわらず、基本金明細表を作成しないことができる。
附 則
1 この省令は、公布の日から施行する。
2 法第十四条第一項の規定が初めて適用される学校法人(文部科学大臣を所轄庁とする学校法人及び法による改正前の私立学校法第五十九条第八項の規定の適用を受けた学校法人を除く。次項において同じ。)については、法第十四条第一項の規定が初めて適用される会計年度における資金収支計算に係る会計処理以外の会計処理及び資金収支計算書(これに附属する内訳表を含む。)以外の計算書類の作成は、なお従前の例によることができる。
3 学校法人が前項に規定する会計年度の末日に有している資産に係る評価及び減価償却の方法については、第二十五条及び第二十六条第二項の規定によらないことができる。
4 当分の間、学校法人のうち、法附則第二条第一項に規定する学校法人以外の私立の学校の設置者に対する第二十六条第二項の規定の適用については、同項中「定額法」とあるのは「定額法又は定率法」とする。
附 則 (昭和五一年一月一〇日文部省令第一号)
この省令は、学校教育法の一部を改正する法律(昭和五十年法律第五十九号)の施行の日(昭和五十一年一月十一日)から施行する。
附 則 (昭和五一年四月一日文部省令第一四号)
この省令は、私立学校振興助成法の施行の日(昭和五十一年四月一日)から施行する。
附 則 (昭和六二年八月三一日文部省令第二五号)
1 この省令は、昭和六十三年四月一日から施行する。ただし、第三十条第一項第四号の改正規定は、公布の日から施行する。
2 改正後の学校法人会計基準の規定は、昭和六十三年度以後の会計年度に係る会計処理及び計算書類の作成について適用し、昭和六十二年度以前の会計年度に係るものについては、なお従前の例による。
附 則 (平成六年七月四日文部省令第三一号)
この省令は、公布の日から施行し、平成六年度以後の会計年度に係る会計処理及び計算書類の作成について適用する。
附 則 (平成一二年一〇月三一日文部省令第五三号) 抄
(施行期日)
第一条 この省令は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日(平成十三年一月六日)から施行する。
附 則 (平成一七年三月三一日文部科学省令第一七号)
1 この省令は、平成十七年四月一日から施行する。
2 改正後の学校法人会計基準の規定は、平成十七年度以後の会計年度に係る会計処理及び計算書類の作成について適用し、平成十六年度以前の会計年度に係るものについては、なお従前の例による。