よく修学旅行等の積立金は、通帳を別にして学校法人事務局が管理している実務がみられます。その場合、学校法人本会計とは別帳簿で特別会計として修学旅行会計や後援会会計などを処理し、関係者に収支報告が行なわれることがおおいです。
この場合でも、下記のとおり期末の決算時には「預り金」として学校法人の本会計に計上すべきことが義務づけられています。
科目も「修学旅行預り金」等適当な科目で、性質上他と区分表示すべきものになります。
学校会計委員会報告第24号
修学(研修)旅行費預り金の会計処理及び監査上の取扱いについて
修学(研修)旅行費預り金は,学校が修学(研修)旅行費として収納した金銭であって,学生生徒等納付金に準ずる重要性を有するものである。
したがって,当分の間,修学(研修)旅行費預り金の会計処理及び監査上の取扱いを下記のとおり定める。
記
修学(研修)旅行費預り金については,学校法人会計に含めて経理するものとする。したがって,学校法人が管理上の都合等により特別会計として区分経理している場合であっても,預り金の収支として一般会計に合併したうえで,計算書類を作成しなければならない。
預り金より生ずる利息配当金及び剰余金の処理について,預り金あるいは帰属収入とするかは,修学(研修)旅行費取扱規程等の定めるところにより計上するものとする。
なお,所轄庁が,本報告と異なる会計処理を指定し,学校法人がこれに従っている場合は,妥当なものとして取扱うものとする。
修学(研修)旅行費預り金に関する会計処理について,本取扱いによるために変更が行われた場合は,正当な理由に基づく変更と認めるものとする。
解 説
まえがき
修学(研修)旅行費預り金は,学校が修学(研修)旅行費として収納した金銭であって,学生生徒等納付金に準ずる重要性を有するものである。
このように重要性を有する預り金であるが,学校法人によってその取扱いは必ずしも統一されていない現状にかんがみ,この取扱いについての会計処理及び監査上の取扱いについて定めたものである。
1.会計処理と表示例
(1)会計処理
修学(研修)旅行費預り金の会計処理にあたっては,学校法人会計に含めて経理すべきものであるところから,学校法人が管理上の都合等により特別会計として区分経理している場合であっても,預り金の収支として一般会計に合併したうえで,計算書類を作成しなければならないものとしたのである。
なお,この預り金より生ずる利息配当金及び剰余金の処理について,預り金とするか帰属収入とするかは,学校で定める修学(研修)旅行費取扱規程等(注)によるものとする。
(注)修学(研修)旅行費取扱規程等の整備は急がなければならない。
この規程等には,①預り金の管理保管の手続,責任,②預り金より生ずる利息配当金の帰属,③修学(研修)旅行終了時又は卒業時の剰余金の処分,④引率(付添)教職員の旅費の支出,⑤現在預り金のままとなっている卒業生の受取利息等の処理,⑥年度末計算書類の作成等の所要事項を記載し,会計処理上支障を来させないよう配慮すべきである。
(2)表示例
イ 資金収支計算書の科目
修学(研修)旅行費預り金に係る収支については,「(大科目)その他の収入-(小科目)たとえば修学(研修)旅行費預り金受入収入」及び「(大科目)その他の支出-(小科目)たとえば修学(研修)旅行費預り金支払支出」として表示するものとする。ただし,前記の小科目に属する金額を,それぞれ「預り金受入収入」及び「預り金支払支出」に含めて表示することができる。
また,預り金に係る収支については,学校法人会計基準(文部省令)第5条ただし書によって純額表示することもできる。
ロ 貸借対照表の科目
修学(研修)旅行費領り金は,固定負債又は流動負債に区分して表示する。修学(研修)旅行費預り金として収納した金銭は,当該事項のみに支出する資産であるため通常の支払資金と区分して例えば(小科目)「修学(研修)旅行費預り資産」として表示することが適当である。
2.監査上の取扱い
修学(研修)旅行費領り金に関する会計処理について,本取扱いによるため変更が行われた場合は,正当な理由に基づく変更と認めるものとする。
また,所轄庁が,本報告と異なる会計処理を指定しており,かつ学校法人がこれに従っている場合は,妥当なものとして取扱うものとする。
なお,修学(研修)旅行費について,学校法人の定めるところにより従来から,学校法人の計算に含めて経理している場合には,当分の間,妥当な処理として取扱うものとする。
3.その他の留意事項
学校法人が当初予算において「修学(研修)旅行費預り金」に係る収支(又は純額)を計上していない場合で本取扱いによる処理を行うこととなるときは,当初予算を補正するよう助言することが望ましい。 (学校会計委員会委員長 斉藤清秀)