去る2月17日、文部科学省より以下の通知が発表されました。
概要は以下のとおりです
・退職給与引当金・・・期末要支給額100%の計上を強制
(積立不足額は、10年以内に繰り入れ)
・有価証券の評価方法・・・移動平均法
・デリバティブ取引・・・独立科目で表示
退職給与引当金・有価証券は、平成23年度より適用、デリバティブ取引は平成22年度より適用です。
退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について(通知)
22高私参第11号
平成23年2月17日
文部科学大臣所轄各学校法人理事長 殿
文部科学省高等教育局私学部参事官 伊藤 勲
学校法人会計基準においては、退職給与引当金の計上基準及び有価証券の評価方法並びにデリバティブ取引に係る損失の処理科目及び表示について、その取扱い又は処理方針が示されていないことから、これまで各学校法人に委ねられていましたが、この度、学校法人における財務情報等の公開の進展、会計処理等の取扱いが各学校法人によって異なることによる不明確さやわかりにくさの解消等の観点から、これらの会計処理等については、下記のとおり統一した取扱いとすることとしました。
ついては、統一の趣旨及び内容等を御了知の上、適切に処理されるようお願いします。
なお、別途、日本公認会計士協会がこの通知に係る実務指針等を公表する予定ですので、御参照ください。
記
1 統一の内容等
(1)退職給与引当金の計上基準
退職給与引当金の計上基準について、財団法人私立大学退職金財団(以下「私大退職金財団」という。)又は各都道府県ごとに設立された私立学校退職金団体(以下「私学退職金団体」という。)に加入している学校法人においては、以下の取扱いによること。それ以外の場合においても本通知の趣旨を踏まえ、明瞭かつ適切に処理すること。
1)各学校法人の退職給与規程等に基づいて算出した退職金の期末要支給額の100パーセントを退職給与引当金として計上すること。なお、私大退職金財団に加入している学校においては必要な調整計算を行い、いわゆる積立方式を採用している私学退職金団体に加入している学校においては、各団体から交付される額を控除すること。
2)平成22年度末における退職金の期末要支給額の100パーセントを基にして計算した額と、平成22年度末における退職給与引当金の残高との差額(以下「変更時差異」という。)については、大科目「人件費」のうちに、新たに小科目として「退職給与引当金特別繰入額」を設けて表示すること。
(2)有価証券の評価方法
移動平均法によること。
(3)デリバティブ取引に係る損失の処理科目及び表示
デリバティブ取引に係る損失は、大科目「管理経費(支出)」に区分すること。なお、小科目は「デリバティブ運用損(支出)」等を設け、デリバティブ取引による損失であることが明瞭になるよう処理し、表示すること。ただし、貸借対照表に計上されている現物の金融商品と組み合わされたデリバティブ取引に係る損失で、当該金融商品に係る売却又は処分差額と区分することが困難な場合を除く。
2 経過措置
退職給与引当金の計上に係る変更時差異については、平成23年度において一括計上することが困難な場合には、10年以内の期間をもって計上することができることとする。この場合、変更時差異は、毎年度均等額を繰り入れること。なお、本通知を適用するにあたり定めた期間を変更する場合、延長することはできないが短縮することは差し支えないこと。
3 適用
この通知による取扱いは、平成23年度の計算書類の作成から適用すること。ただし、デリバティブ取引に係る損失の処理科目及び表示については、平成22年度の計算書類の作成から適用すること。
4 注記事項の記載
(1)退職給与引当金の計上基準は、「重要な会計方針」として記載することとされているが、本通知により計上基準を変更した場合には、その内容について「重要な会計方針の変更等」としても記載することになること。また、変更時差異を平成23年度に一括計上せず毎年度均等に繰り入れる措置によった場合には、併せて「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」に記載すること。
なお、消費収支計算書においては、「退職給与引当金特別繰入額」についての説明を注記すること。
(2)有価証券の評価方法、デリバティブ取引に係る損失の処理科目及び表示についても、本通知により変更した場合、その内容について「重要な会計方針の変更等」に記載すること。
(3)注記事項の記載方法については、別添「注記の記載例」を参照されたい。