学校法人会計・学校監査のエキスパート » 固定資産・基本金 http://gakkokaikei.org 学校法人会計・学校監査|丹羽総合会計事務所(世田谷区経堂) Thu, 31 Jan 2013 05:40:13 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=3.9.40 新しくなったソフトウェア会計 http://gakkokaikei.org/archives/301.html http://gakkokaikei.org/archives/301.html#comments Wed, 06 Oct 2010 07:33:20 +0000 http://school.niwakaikei.jp/?p=301 従来の学校法人会計で、ソフトウェアについては「応用ソフト」「基本ソフト」というおおまかな区分がなされ積極的に資産計上されていませんでした。昨今の改訂で、ソフトウェアの取り扱いは大きく変わりました。

根本的方向としては、企業会計におけるソフト会計の取り扱いに従う形で改正がなされました。企業会計でいう「研究開発用ソフト」ないし「販売用ソフト」は「教育研究用ソフト」、そして「自社利用のソフト」は「事務用ソフト」に近い形で取り扱いが整備されました。

資産計上されることで、第一号基本金の計上に影響するケースが往々にしてありうると考えられますので十分ご注意ください。


ソフトウェアに関する会計処理について(通知)20高私参第3号

平成二十年十月九日文部科学大臣所轄各学校法人理事長殿各都道府県知事殿文部科学省高等教育局私学部参事官豊岡 宏規 学校法人会計におけるソフトウェアの今後の取扱いについては,下記のとおりですので,十分御了知の上,適切な会計処理をお願いします。
なお,日本公認会計士協会がこの通知に係る実務指針等を公表する予定ですので,御参照ください。
また,各都道府県知事におかれては,所轄の学校法人及び私立学校法第64条第4項の法人に対して周知されるようお願いします。

1 趣旨及び目的
 学校法人会計におけるソフトウェアの会計処理については,従来より,経費として処理されてきたところであるが,近年,学校法人の教育研究活動や管理運営業務において,ソフトウェアの果たす役割が重要性を増していることを踏まえ,また,ソフトウェアがファイナンス・リース取引の対象となる場合の会計処理について,「リース取引に関する会計処理について」(平成20年9月11日付け20高私参第2号文部科学省高等教育局私学部参事官通知)との整合性を確保するため,ソフトウェアに関する会計処理の取扱いの統一を図ることとした。

2 用語の定義
 「ソフトウェア」とは,コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム及びこれに関連する文書をいう。

3 会計処理
(1) ソフトウェアについては,その利用により将来の収入獲得又は支出削減が確実であると認められる場合には当該ソフトウェアの取得に要した支出に相当する額を資産として計上し,それ以外の場合には経費として処理する。
学校法人において利用されるソフトウェアには,教育研究の質的向上等の目的で利用される教育研究用ソフトウェアと学校法人の効率的な運営等に資する目的で利用される事務用ソフトウェアがある。教育研究用ソフトウェアは,その利用に伴い外部より相当額の利用料を徴収する等の例外的なものを除き,将来の収入獲得又は支出削減が確実であると認められない場合が多く,この場合には経費として処理する。一方,事務用ソフトウェアは業務の効率化のために使用することが多く,それによって支出削減が確実であると認められる場合には資産として計上する。
(2) 機器備品等に組み込まれているソフトウェアは,両者が別個では機能せず一体としてはじめて機能するものであり,経済的耐用年数も相互に関連性が高いことから,原則として両者を区分せず,当該機器備品等に含めて処理する。
(3) 上記3(1)に基づいて資産として計上するソフトウェアは,学校法人の採用する固定資産計上基準額以上のものとする。
(4) 固定資産に計上したソフトウェアの耐用年数は,学校法人が当該ソフトウェアの利用の実態等を勘案して,自主的に決定することとする。
(5) なお,ソフトウェアについてファイナンス・リース取引をした場合,「リース取引に関する会計処理について」(平成20年9月11日付け20高私参第2号文部科学省高等教育局私学部参事官通知)の3(1)アからウまでに該当する場合を除き,通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理を行うこととなり,その会計処理は,上記3(1)のとおり,その利用により将来の収入獲得又は支出削減が確実であると認められる場合には当該ソフトウェアの取得に要した支出に相当する額を資産として計上し,それ以外の場合には経費として処理することとなる。
4 計算書類の表示
 ソフトウェアを資産として計上する場合には,資金収支計算書では「設備関係支出」の小科目として「ソフトウェア支出」等,貸借対照表では「その他の固定資産」の小科目として「ソフトウェア」等の適切な科目を設けて処理することとする。

5 適用
 この通知による取扱いは,平成21年4月1日以降に購入等されるソフトウェアについて適用する。

学校法人委員会報告第42 号
「ソフトウェアに関する会計処理について(通知)」に関する実務指針
平成21 年1月14 日
日本公認会計士協会
目 次
はじめに…………………………………………………………………. 1
Ⅰ 会計処理……………………………………………………………… 1
1-1 将来の収入獲得又は支出削減が確実であると認められる場合……………….. 1
1-2 事務用ソフトウェアを経費処理した場合……………………………….. 1
1-3 学内制作したソフトウェアの処理…………………………………….. 1
1-4 教育研究と販売の両方の利用目的があるソフトウェアの会計処理……………. 2
1-5 コンピュータの購入に伴い取得した基本ソフトウェアの会計処理……………. 2
1-6 コンテンツを購入した場合の会計処理…………………………………. 2
1-7 機器備品等に組み込まれているソフトウェア……………………………. 2
1-8 ソフトウェアを除却した場合の会計処理……………………………….. 3
1-9 ソフトウェアと少額重要資産の考え方…………………………………. 3
1-10 ソフトウェアをグループ償却することの適否……………………………. 3
1-11 バージョンアップが行われた場合の会計処理……………………………. 3
1-12 ソフトウェアの保守料を支払った場合の会計処理………………………… 3
Ⅱ 表示…………………………………………………………………. 4
2-1 表示科目………………………………………………………… 4
2-2 固定資産明細表への記載……………………………………………. 4
Ⅲ その他……………………………………………………………….. 4
3-1 「購入等」の考え方……………………………………………….. 4
3-2 リース通知とソフト通知の適用関係…………………………………… 4
Ⅳ 適用…………………………………………………………………. 5
- 1 -
はじめに
近年、学校法人の教育研究活動や管理運営活動において、ソフトウェアの果たす役割が重
要性を増していることを踏まえ、文部科学省から「ソフトウェアに関する会計処理について
(通知)」(20 高私参第3号、以下「通知」という。)が平成20 年9月11 日付けで発出され
た。当該通知を受け、日本公認会計士協会は、通知を実務に適用するに当たっての具体的な
指針を本報告に取りまとめた。
Ⅰ 会計処理
1-1 将来の収入獲得又は支出削減が確実であると認められる場合
Q 通知の3(1)では、「ソフトウェアについては、その利用により将来の収入獲得又は支出
削減が確実であると認められる場合には当該ソフトウェアの取得に要した支出に相当する
額を資産として計上し、それ以外の場合には経費として処理する。」としていますが、「将
来の収入獲得が確実」「支出削減が確実」とは、具体的にはどのように判断すべきですか。
A 将来の収入獲得又は支出削減が確実であると認められる状況は、利用の実態により様々
であると考えられる。
将来の収入獲得が確実であると認められる場合とは、例えば、ソフトウェアの機能を学
生生徒等に提供することによって学生生徒等から利用料を徴収する場合、インターネット
予約システムを導入し予約増による施設設備利用料等の収入増が確実に認められる場合、
学校法人が制作したソフトウェアを外部に販売する場合などが該当すると考えられる。
一方、将来の支出削減が確実であると認められる場合とは、例えば、学籍管理、履修登
録、成績管理、人事管理・給与計算又は会計処理などのソフトウェアの導入により、業務
が効率化し、利用する前に比べ人件費、経費の削減効果が確実に見込まれる場合が該当す
ると考えられる。
判断に当たっては、ソフトウェアを利用している実態を十分に把握して、資産計上の要
件を満たしているか否かについて検討する必要がある。
1-2 事務用ソフトウェアを経費処理した場合
Q 通知の3(1)では、「学校法人において利用されるソフトウェアには、教育研究の質的向
上等の目的で利用される教育研究用ソフトウェアと学校法人の効率的な運営等に資する目
的で利用される事務用ソフトウェアがある。」としていますが、事務用ソフトウェアを経費
処理した場合、管理経費になるのでしょうか。
A 事務用ソフトウェアには教育研究用に使用するものと管理用に使用するものが考えられ、
経費処理する場合であっても、必ずしも管理経費にはならず、教育研究経費になる場合と
管理経費になる場合がある。
1-3 学内制作したソフトウェアの処理
Q ソフトウェアを学内制作する場合、資産計上する費用の範囲や集計すべき期間を教えて
ください。
A ソフトウェアの制作開始時においては、ソフトウェアの利用者が要求する機能を発揮す
るソフトウェアが完成し、かつ、実際の業務での使用に耐えられるかについて、確実に判
断することには困難を伴うことが考えられる。したがって、将来の収入獲得又は支出削減
が確実であると認められる状況になったとき、ソフトウェア仮勘定などの資産科目への計
上を開始する。このソフトウェア仮勘定などへの集計開始時点は、将来の収入獲得又は支
出削減が確実であることを立証できる証憑に基づいて決定する。そのような証憑としては、
- 2 -
例えば、ソフトウェアの制作が承認された稟議書又はソフトウェアの制作のための経費を
集計するための制作番号を記入した管理台帳等が考えられる。なお、将来の収入獲得又は
支出削減が確実であると認められた時点から過去にさかのぼって、ソフトウェアの制作の
ための経費を資産計上することは認められない。
また、ソフトウェア仮勘定などへの費用の集計は、実質的にソフトウェアの制作作業が
完了したと認められる状況になったときまでであり、制作作業が完了したことを立証でき
る証憑に基づいて決定する。そのような証憑としては、例えば、ソフトウェア作業完了報
告書、最終テスト報告書等が考えられる。
集計する経費の範囲については、資産計上開始時から終了時までの人件費、教育研究経
費及び管理経費であり、データコンバート費用、トレーニング費用は集計しない。
なお、財務分析等に当たっては、ソフトウェア勘定に人件費及び経費等が含まれている
ことに留意されたい。
1-4 教育研究と販売の両方の利用目的があるソフトウェアの会計処理
Q 教育と販売の両方の目的があるソフトウェアの会計処理はどうなりますか。
A ソフトウェアを資産計上する要件は、「将来の収入獲得又は支出削減が確実」な場合であ
る。このため、教育研究又は販売のいずれかの目的について、上記要件を満たすと判断さ
れる場合には、ソフトウェア原価相当額を目的に応じて按分することなく、総額が資産計
上されることになる。
毎年度の減価償却額については、適切な配分基準により教育目的部分は教育研究経費と
し、販売目的部分は管理経費に計上することになる。
1-5 コンピュータの購入に伴い取得した基本ソフトウェアの会計処理
Q コンピュータの購入に伴い取得した基本ソフトウェアの会計処理はどのようにするので
すか。
A コンピュータのハード本体は基本ソフトウェアがあって初めて動作を行うことが可能と
なるので、基本ソフトウェアを購入時において明確に区分できるかどうかを問わず、当該
コンピュータのハード本体に含めて処理することになる。
すなわち、ハード本体と基本ソフトウェアを一体として学校法人の採用する固定資産の
計上基準により判定し、機器備品に計上するか、経費処理する。
1-6 コンテンツを購入した場合の会計処理
Q コンテンツを購入した場合、どのように会計処理するのですか。
A ソフトウェアがコンピュータに一定の仕事を行わせるプログラム等であるのに対し、コ
ンテンツはその処理対象となる情報の内容である。コンテンツの例としては、データベー
スソフトウェアが処理対象とするデータや、映像・音楽データ等を掲げることができる。
したがって、コンテンツは、図書と類似の役割を有するものと考えられるので、利用の
態様に従い、図書に準じて処理する。
1-7 機器備品等に組み込まれているソフトウェア
Q 通知3(2)では、機器備品等に組み込まれているソフトウェアは、「原則として両者を区
分せず、当該機器備品等に含めて処理する。」とされていますが、購入時にインストールさ
れている基本ソフトウェアだけでしょうか、購入後にインストールするものも含むのでし
ょうか。
A 機器備品等の購入時に既に組み込まれている基本ソフトウェアは、両者が別個では機能
せず一体としてはじめて機能するものであり、両者を区分せず機器備品等に含めて処理す
- 3 -
る。購入後にインストールした場合も同様である。
なお、組み込み済みの応用ソフトウェアについては、ハード部分とソフト部分を明確に
区分することができない場合には、両者を区分せず機器備品等に含めて処理する。これに
対して、購入後にインストールした応用ソフトウェアは機器本体とは明らかに区分できる
ものであり、機器備品等に含めての処理は行わない。
1-8 ソフトウェアを除却した場合の会計処理
Q ソフトウェアを除却した場合の会計処理はどのようにすればよいのですか。
A ソフトウェアを償却途中で除却した場合の会計処理は、有形固定資産を除却した場合と
同様に、未償却残高を消費支出として処理することとなる。この場合、計算書類には、大
科目「資産処分差額」に「ソフトウェア処分差額」等の小科目を設けて表示することが適
当である。
1-9 ソフトウェアと少額重要資産の考え方
Q ソフトウェアについても、少額重要資産の考え方は適用されるのでしょうか。
A 個々には少額なソフトウェアであっても、将来の収入獲得又は支出削減効果が確実であ
ると認められ、かつ、少額重要資産すなわち「学校法人の性質上基本的に重要なもので、
その目的遂行上常時相当多額に保有していることが必要とされる資産」に該当するもので
あれば、少額重要資産として取り扱うこととなる。
1-10 ソフトウェアをグループ償却することの適否
Q ソフトウェアについてもグループ償却を行うことは可能でしょうか。
A 事務手続の簡素化のため、ソフトウェアの減価償却についても、取得年度ごとに同一耐
用年数のものをグループ化し、一括して毎会計年度償却をし、耐用年数の最終年度に一括
除却処理を行うグループ償却の方法によることができる。
1-11 バージョンアップが行われた場合の会計処理
Q 現在使用しているソフトウェアについて、バージョンアップが行われた場合、どのよう
に会計処理すべきですか。
A ソフトウェアのバージョンアップは機能維持活動とは明確に区分され、大きく次の2種
類に分けられる。
① 仕様の大部分を作り直す大幅なバージョンアップ
② 既存の製品に機能を追加する又は操作性を向上するなど、それほど大幅ではないバ
ージョンアップ
①、②のいずれも、新規のソフトウェアの購入等と同様に、将来の収入獲得又は支出削
減が確実と認められる場合には資産として計上し、それ以外の場合には経費として処理す
る。なお、現在使用しているソフトウェアが資産計上されていない場合であっても、バー
ジョンアップ後のソフトウェアによって将来の収入獲得又は支出削減が確実と認められる
場合には、これに要した支出は資産計上されることになる。
1-12 ソフトウェアの保守料を支払った場合の会計処理
Q ソフトウェアの保守料を支払った場合、どのように会計処理をすべきですか。
A ソフトウェアの保守は、ソフトウェアの設置や稼動確認作業及び操作指導など一定期間
のサービスであり、保守料はそのサービスの対価と考えられる。
したがって、当該ソフトウェアの保守料は、時の経過とともに経費処理する。
- 4 -
Ⅱ 表示
2-1 表示科目
Q 通知4では、ソフトウェアを資産計上する場合には、「ソフトウェア」等の適切な科目を
設けて処理することになっていますが、「教育研究用機器備品」と「その他の機器備品」の
ように教育研究用とその他とに区分して表示してもよいでしょうか。
A 通知4では「ソフトウェア」等の適切な科目を設けて処理することとなっており、勘定
科目を「ソフトウェア」に限定しているわけではなく、学校法人が小科目を設定すること
は任意であり、「教育研究用ソフトウェア」と「その他のソフトウェア」に分類して表示す
ることも差し支えない。
2-2 固定資産明細表への記載
Q ソフトウェアの固定資産明細表への記載はどうなるのでしょうか。
A 次のように「その他の固定資産」の小科目として記載することとなる。
Ⅲ その他
3-1 「購入等」の考え方
Q 通知による取扱いは、平成21 年4月1日以降に購入等されるソフトウェアについて適用
するとされていますが、購入等にはどのようなものが該当するのでしょうか。
A 購入等には、購入のほかに、リース契約による取得、学内制作が考えられる。
なお、リース契約による取得の場合、リース取引開始日が平成21 年4月1日以降のリー
ス取引から適用される。
また、学内制作の場合には平成21 年4月1日以降に制作が終了し利用を開始したソフ
トウェアから適用されることになる。
3-2 リース通知とソフト通知の適用関係
Q ソフトウェアをリース取引により取得した場合、リース通知とソフト通知の適用関係は
どのようになるのですか。
A 通知3(5)によれば、ソフトウェアについてファイナンス・リース取引をした場合、「リ
ース取引に関する会計処理について(通知)」(平成20 年9月11 日 20 高私参第2号)の3
(1)①アからウまでに該当する場合を除き、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理
を行い、その会計処理について当通知を適用することとされている。
したがって、リース物件がソフトウェアであっても、リース取引通知の3(1)①アからウ
科 目 期首残高 当期増加額 当期
減少額
期末残高 減価償却額の
累計額
差引期末
残高
有形固定資産
計 30,000,000 1,200,000 0 31,200,000 20,240,000 10,960,000
ソフトウェア 500,000 0 0 500,000 200,000 300,000
その他の
固定資産
計 500,000 0 0 500,000 200,000 300,000
合計 30,500,000 1,200,000 0 31,700,000 20,440,000 11,260,000
- 5 -
に該当し、通常の賃貸借取引に準じた会計処理をする方法を選択した場合には、賃貸借取
引に係る方法に準じた会計処理を行うこととなる。
なお、ソフトウェアについての両通知の適用関係をフローチャートで示せば次のとおり
である。
NO YES
NO YES
NO YES
※1 少額重要資産の判定を含む。
Ⅳ 適用
本報告は、平成21 年4月1日以降に購入等されるソフトウェアについて適用する。なお、
平成21 年3月31 日以前に購入等するソフトウェアについては、従来どおりの取扱いとす
る。
以 上

]]>
http://gakkokaikei.org/archives/301.html/feed 0
リース取引の会計基準改正 http://gakkokaikei.org/archives/118.html http://gakkokaikei.org/archives/118.html#comments Thu, 26 Nov 2009 23:38:23 +0000 http://school.niwakaikei.jp/?p=118 学校会計でも平成21年4月以降に開始する事業年度から、リースの資産計上が強制適用されることになりました。

従来はリース料は費用(教育研究費・管理経費)とされていましたが、固定資産として計上することにより1号基本金の組入額が影響を受けることになります。

主としてリース料総額300万円以上の物件が対象となり規制対象は限定されますが、注記情報(会計方針の変更など)も必要となるため今から準備しておくことがのぞましいです。


リース取引に関する会計処理について(通知)20高私参第2号

平成二十年十月九日文部科学大臣所轄各学校法人理事長 殿各都道府県知事 殿文部科学省高等教育局私学部参事官豊岡 宏規 学校法人会計におけるリース取引の今後の取扱いについては,下記のとおりですので,十分御了知の上,適切な会計処理をお願いします。
なお,日本公認会計士協会がこの通知に係る実務指針等を公表する予定ですので,御参照ください。
また,各都道府県知事におかれては,所轄の学校法人及び私立学校法第64条第4項の法人に対して周知されるようお願いします。

1 趣旨及び目的
 学校法人会計におけるリース取引の会計処理については,従来より,リース取引をファイナンス・リース取引及びオペレーティング・リース取引に区分し,ファイナンス・リース取引については,その取引契約に係る法的形式は賃貸借取引であるが,その経済的実態は当該物件を売買した場合と同様の状態にあると認められるものも多々あることから,通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理が原則的な処理とされていた。その一方で,ファイナンス・リース取引のうち所有権移転外ファイナンス・リース取引については,従来の実務に配慮して,例外的に,所定の注記を条件として通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うこともできるものとされてきた。
企業会計においても,このような取扱いがなされていたが,この例外処理である通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理については,従来から,会計上の情報開示の観点から借手は債務を計上すべきこと,通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理がほぼ全てを占める現状は特異な状況であること等が問題点として指摘されていたことから,企業会計基準においては,平成19年3月30日に,「リース取引に関する会計基準」の一部改正が行われ,平成20年4月1日以降,所有権移転外ファイナンス・リース取引について,通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理は認められないこととなった。
学校法人のリース取引については,教育研究用のコンピュータをはじめ,医療機器,車両等各種資産に範囲が拡大するとともに,取引量も年々増加する傾向にある中で,企業会計基準改正の背景となったリース取引に係る経済的実態を的確に計算書類に反映させる要請等については,学校法人会計に関しても同様である。このため,学校法人会計においても,ファイナンス・リース取引については,一定の場合を除き,通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理を行うこととし,通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を廃止する等,リース取引に関する会計処理についてその取扱いの統一を図ることとした。

2 用語の定義
(1) 「リース取引」とは,特定の物件の所有者たる貸手が,当該物件の借手に対し,合意された期間(以下「リース期間」という。)にわたり,これを使用収益する権利を与え,借手は,合意された使用料(以下「リース料」という。)を貸手に支払う取引をいい,「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」に区分される。
(2) 「リース物件」とは,リース契約に基づき借手が使用する物件をいう。
(3) 「ファイナンス・リース取引」とは,リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で,借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ,かつ,当該リース物件の使用に伴って生ずるコストを実質的に負担することとなるものをいう。
なお,上記において,「これに準ずるリース取引」とは,法的には解約可能であるとしても,解約に際し相当の違約金を支払わなければならない等の理由から,事実上解約不能と認められるリース取引をいう。また,「借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受する」とは,当該リース物件を自己所有するとするならば得られると期待されるほとんど全ての経済的利益を享受することをいい,「当該リース物件の使用に伴って生ずるコストを実質的に負担する」とは,当該リース物件の取得価額相当額,維持管理等の費用,陳腐化によるリスク等のほとんど全てのコストを負担することをいう。
(4) 「所有権移転ファイナンス・リース取引」とは,ファイナンス・リース取引のうち,次のいずれかに該当するものをいう。
 リース契約上,リース期間終了後又はリース期間の中途で,リース物件の所有権が借手に移転することとされているもの
 リース契約上,借手に対して,リース期間終了後又はリース期間の中途での割安購入選択権(名目的価額又はその行使時点のリース物件の価額に比して著しく有利な価額で買い取る権利をいう。)が与えられており,その行使が確実に予想されるもの
 リース物件が借手の用途等に合わせた特別な仕様によるものであって,当該リース物件の返還後,貸手が第三者に再リースし,又は売却することが困難であるため,その使用可能期間を通じて借手によってのみ使用されることが明らかなもの
(5) 「所有権移転外ファイナンス・リース取引」とは,ファイナンス・リース取引のうち,所有権移転ファイナンス・リース取引以外のものをいう。
(6) 「オペレーティング・リース取引」とは,リース取引のうち,ファイナンス・リース取引以外のものをいう。
(7) 「リース対象資産」とは,リース物件のうち,通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により,貸借対照表に資産として計上されるものをいう。
(8) 「リース料総額」とは,リース債務の元本返済額,利息相当額及び維持管理費用相当額をいう。
(9) 「利子抜き法」とは,リース料総額を,リース債務の元本返済額部分,利息相当額部分及び維持管理費用相当額部分に区分し,元本返済額部分をもって固定資産価額等とすることをいう。
(10) 「利子込み法」とは,リース料総額をもって固定資産価額等とすることをいう。
(11) 「リース取引開始日」とは,借手がリース物件を使用収益する権利を行使することができることとなった日をいう。
3 会計処理及び表示
(1) ファイナンス・リース取引の会計処理
 会計処理
リース取引開始日に,通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により,リース物件及びこれに係る債務を,それぞれ該当する固定資産等の科目及び負債の未払金(長期未払金)に計上する。
ただし,次のいずれかに該当する場合には,通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことができる。
ア リース料総額が学校法人の採用する固定資産計上基準額未満のもの(リース物件が少額重要資産の場合を除く。)
イ リース期間が1年以内のもの
ウ リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のもの(ただし,所有権移転外ファイナンス・リース取引に限る。)
 固定資産価額等
ア リース対象資産
リース料総額を,リース債務の元本返済額部分,利息相当額部分及び維持管理費用相当額部分に区分し,元本返済額部分を固定資産価額として計上する利子抜き法を原則とするが,リース対象資産の総額に重要性が乏しいと認められる場合には,リース料総額をもって固定資産価額とする利子込み法により処理することもできるものとする。
この場合において,リース対象資産の総額に重要性が乏しいと認められる場合とは,貸借対照表日後のリース期間に係るリース料(以下「未経過リース料」という。)の期末残高(通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うリース取引及び利子抜き法により固定資産に計上する会計処理を行うリース取引に係るものを除く。)が,当該未経過リース料の期末残高,有形固定資産及びその他の固定資産(有価証券,収益事業元入金,長期貸付金,引当特定預金等を除く。)の期末残高(利子込み法により処理した場合におけるファイナンス・リース取引に係るリース対象資産に係るものを除く。)の合計額に占める割合が10パーセント未満である場合とする。
イ リース対象資産以外のリース物件
リース対象資産以外のリース物件については,利子込み法によりリース料総額をもって経費として処理することを原則とする。
 リース対象資産の減価償却
リース対象資産の減価償却額は,所有権移転ファイナンス・リース取引に係るものについては自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定し,所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るものについてはリース期間を耐用年数とし残存価額をゼロとして算定する。
なお,会計年度の中途で取得した所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース対象資産の減価償却額の計算においても,当該リース対象資産について計算される年間減価償却額を月数按分したものによるほか,次の簡便法を採用している場合も,重要性がない場合には,妥当な会計処理として取り扱うことができるものとする。
ア 取得時の会計年度は,償却額年額の2分の1の額により行う。
イ 取得時の会計年度は,償却を行わず,翌会計年度から行う。
ウ 取得時の会計年度から償却額年額により行う。
 利子抜き法の処理
利子抜き法により処理する場合,利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法は,原則として,利息法(各期の支払利息相当額をリース債務の未返済元本残高に一定の利率を乗じて算定する方法)によるものとする。なお,リース対象資産の総額に重要性が乏しいと認められる場合においても利子込み法によらず利子抜き法により処理するときには,定額法(利息相当額の総額をリース期間中の各期にわたり,定額で配分する方法)によることもできるものとする。
 再リース料の処理
再リースを行う場合の再リース料は,経費として処理する。
(2) オペレーティング・リース取引の会計処理
通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行う。
(3) 表示
 リース物件の表示
リース物件については,該当する固定資産の科目又は消耗品費・賃借料等の経費科目に含めて表示する。
 リース物件に係る債務
リース物件に係る債務については,貸借対照表日後1年以内に支払いの期限が到来するものは流動負債に属するものとし,貸借対照表日後1年を超えて支払いの期限が到来するものは固定負債に属するものとする。
 注記
ア 上記3(1)ウに該当し,又はリース取引開始日が下記4に記したこの通知による取扱いの適用前であるため,所有権移転外ファイナンス・リース取引について,通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行った場合で,これらのリース料総額の合計額に重要性があるときは,「リース物件(又はリース資産)の種類」,「リース料総額」及び「未経過リース料期末残高」等を注記する。
イ 所有権移転外ファイナンス・リース取引の注記の記載様式については,この通知の別添注記事項記載例を参考にされたい。なお,「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について」(平成17年5月13日付け17高私参第1号文部科学省高等教育局私学部参事官通知)の別添2注記事項記載例<例1>1(2)「所有権移転外ファイナンス・リース取引の処理方法」及び7(6)「所有権移転外ファイナンス・リース取引」は削除する。
4 適用
 この通知による取扱いは,リース取引開始日が平成21年4月1日以降のリース取引について適用する。
なお,リース取引開始日が,平成21年3月31日以前のリース取引については,従来どおり,通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことができるものとする。

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図書の値引き処理 http://gakkokaikei.org/archives/61.html http://gakkokaikei.org/archives/61.html#comments Wed, 30 Sep 2009 11:18:18 +0000 http://school.niwakaikei.jp/?p=61 図書は原則として固定資産計上されますが、定価取得原価となります。大量購入などで値引きが行われた場合、その金額は雑収入として処理することになります。

これは図書固定資産として計上し、その固定資産に見合った金額が学校に保持すべき資金として保持されることにより(第一号基本金)、教育の質を維持するためのものです。

なお消費税法上、図書の値引きは課税仕入のマイナス取引となると考えられます。

昭和47年10月24日 学校法人財務基準調査研究会

 図書については,共通の取扱いにより会計処理を行なうことが適当であると思料したので,この会議において検討を行なった結果,このほど別紙のとおり結論を得たので報告します。

(別紙)
図書の会計処理について

1.長期間にわたって保存,使用することが予定される図書は,取得価額の多寡にかかわらず固定資産に属する図書として取扱う。
2.固定資産に属する図書については,原則として,減価償却経理を必要としないものとする。この場合,図書の管理上,除却の処理が行なわれたときは,当該図書の取得価額相当額をもって消費支出に計上するものとする。
 除却による経理が困難なときは,総合償却の方法により減価償却経理を行なうことができる。
3.学習用図書,事務用図書等のように,通常その使用期間が短期間であることが予定される図書は,取得した年度の消費支出として取扱うことができる。
4.図書の取得価額には,原則として,取得に要する経費を含まないものとする。大量購入等による値引額および現金割引額は,「雑収入」として処理することができる。
5.消費支出として処理した雑誌等を合冊製本して長期間にわたって,保存,使用する図書とする場合は,その合冊製本に要した経費をもって,当該図書の取得価額とすることができる。
6.図書と類似の役割を有するテープ,レコード,フィルム等の諸資料は,利用の態様に従い,図書に準じて会計処理を行なうものとする。

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少額重要資産とは? http://gakkokaikei.org/archives/32.html http://gakkokaikei.org/archives/32.html#comments Tue, 01 Sep 2009 23:04:45 +0000 http://school.niwakaikei.jp/?p=32 学校法人会計の実務では経理規定などで、単価5~10万円以上の資産について固定資産として計上しているところが多いようです。

ところが、これ以下の少額の資産でも固定資産として計上しなければならないものがあります。これらは、学校経営上必須の資産という意味で、少額重要資産といわれます。

条文では、机・椅子・書架・ロッカー等と例示列挙されていますが、経理規定などで明確に定義しておいたほうがよいでしょう。

単価が小さい資産については、一般的には個別管理はおこなわず総合償却の対象となり、耐用年数経過時に自動的にみなし除却の対象となります。

少額重要資産とは、学校法人の性質上基本的に重要なもので、その目的遂行上常時相当多額に保有していることが必要とされる資産をいう。
たとえば、机・椅子・書架・ロッカー等の機器備品がこれに当たる
これらの少額重要資産は、固定資産として管理し、かつ、基本金の設定対象としなければならない(文管振第62号)

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図書の償却 http://gakkokaikei.org/archives/30.html http://gakkokaikei.org/archives/30.html#comments Sat, 29 Aug 2009 07:38:18 +0000 http://school.niwakaikei.jp/?p=30 学校会計では図書に関して、固定資産として計上することが必須となっています。

ところが、歴史ある学校などでは受払・個別管理が困難な場合があると思います。そういうケースでは、下記にあげるとおり総合償却によるみなし除却処理も可能です。
 


昭和47年10月24日 学校法人財務基準調査研究会

 図書については,共通の取扱いにより会計処理を行なうことが適当であると思料したので,この会議において検討を行なった結果,このほど別紙のとおり結論を得たので報告します。

(別紙)
図書の会計処理について

1.長期間にわたって保存,使用することが予定される図書は,取得価額の多寡にかかわらず固定資産に属する図書として取扱う。
2.固定資産に属する図書については,原則として,減価償却経理を必要としないものとする。この場合,図書の管理上,除却の処理が行なわれたときは,当該図書の取得価額相当額をもって消費支出に計上するものとする。
 除却による経理が困難なときは,総合償却の方法により減価償却経理を行なうことができる。
3.学習用図書,事務用図書等のように,通常その使用期間が短期間であることが予定される図書は,取得した年度の消費支出として取扱うことができる。
4.図書の取得価額には,原則として,取得に要する経費を含まないものとする。大量購入等による値引額および現金割引額は,「雑収入」として処理することができる。
5.消費支出として処理した雑誌等を合冊製本して長期間にわたって,保存,使用する図書とする場合は,その合冊製本に要した経費をもって,当該図書の取得価額とすることができる。
6.図書と類似の役割を有するテープ,レコード,フィルム等の諸資料は,利用の態様に従い,図書に準じて会計処理を行なうものとする。

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